歌人 北久保まりこ
お知らせ
『短歌研究』5月6月合併号 300歌人の新作作品集「2024年のうた」のご依頼を賜りました。
大変光栄に存じます。
ありがとうございました。
300歌人の新作作品集 「2024年のうた」
北久保まりこ
百歳の猫
猫として生まれしポレが丸くなる 種へのへだたりの曖昧な午後
祖先より何千世代の旅のはて喉を鳴らせり百歳の猫
猫とゐる背にそそぐ陽のおだやかさたもちたしわれ一人のときも
永遠にをはりは在るか 長椅子に旅立ちまでの時のおくゆき
泣く膝に静かに触れし肉球の沁みゐる夕べ もう一度泣く
2024年04月22日(月)
Rattle83号に掲載されましたDeborah P Kolodji氏と私のTan-Ku作品が、私達の朗読音声と共にOn Line で配信されました。
https://www.rattle.com/hubris-by-mariko-kitakubo-deborah-p-kolodji/
2024年04月11日(木)
日本ペンクラブ会報特別号『明日の言葉』に、小文をご掲載頂きました。
ありがとうございました。
「言霊」
人は十人十色、個性があるからこそ面白い。その心がうねり高波となった時、三十一韻律の詩となる。生身の人間が現実を詠えば、そこには魂が宿る。異国籍の聴衆に和英で朗読する際、私が意識するのは「言霊」である。それが母語の違いを超え、聞き手の心を揺さぶり涙させる。詠力を競うならAIも互角であろう。しかし、魂をもたぬ言葉で真に訴えかけることは可能なのか。私達は今、自らの根幹を問われる時代を生きている。
2024年04月01日(月)
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2024年3月24日、Montleal滞在中二度目の短歌ワークショップは、Zoomで行いました。 内容は昨日LaLivrerieで致しましたものと同様に、和英短歌朗読〜短歌についての説明〜BGM に使用したパーカッションの説明〜参加者による試作〜作品発表、という流れでした。 良い天気の日曜日の昼下りでしたが、ご参加下さいました方々、ありがとうございました。 昨日のWorkshopに参加が出来なかったからと言って訪れて下さっさ方もあり、とても嬉しく思いました。 これが少しでも短歌に親しんで下さるきっかけになれば幸いです。 |
2024年03月27日(水)
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カナダ、モントリオールは先週までの暖冬が嘘のような寒さになりました。 Flavia Garcia 氏によるご企画で準備を進めてきました短歌ワークショップには、朝から粉雪が舞う天候にも関わらず、大勢の方々が足をお運び下さり大変嬉しく思いました。 参加者で満席になった会場のLaLivrerieで、短い和英朗読パフォーマンスとレクチャーの後、お受けしたご質問にお応する形式をとりました。 最後はオープンマイクで、皆様が試作された作品を発表し、私の持参したパーカッションを演奏して楽しんで頂くコーナーを設けました。 英語圏にとどまらず仏語圏でも、若い世代の方々が日本文学に大変興味を寄せて下さることが有り難く感謝の気持ちに充たされた午後でした。 |
2024年03月24日(日)
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カナダ、モントリオール在住の詩人 Flavia Garcia 氏から招かれ、2024年3月21日、モントリオールのライブハウスLa Sala Rossa にて開催されましたPoetry Event "Soirée de poésie et traduction"に参加致しました。 12名の参加者により、様々な言語で自由に表現される詩歌の世界を堪能することができた素晴らしい夜でした。 企画に携わられた方々の細やかな気配りにも敬服いたしました。パフォーマンス後「感動しました」「深く癒やされました」とご感想を下さいました皆様に心から感謝いたします。 パフォーマンス中、タンドラム演奏のBGMを加えて下さいました音楽家のOsvaldo Rabunal氏にも御礼申し上げます。 ありがとうございました。 |
2024年03月24日(日)
いりの舎『うた新聞』3月号、エッセイ「短歌トラベラー!」のご依頼を賜り、本日、掲載紙が届いてまいりました。
この度このご企画に参加させていただき、旅についてじっくり振り返るとても良い機会を頂けたことに、感謝しております。
どうもありがとうございました。
今後共、どうぞよろしくお願いいたします。
コロナ後の北欧
北久保まりこ
世界を旅し、和英朗読で短歌を紹介する活動は、突然のコロナ禍により中断を余儀無くされた。十五年目に入り好調の波に乗っていた時期である。生涯を懸けて、貫こうと決めていた仕事だった。しかし、再開の目処は立たず、ただこの地上に生き延びることだけを願って過ごした月日だった。今思うと、遥か昔の出来事のようである。当時は、過去に訪れた五大陸、五十三都市で世話になった文学者達を案じ、無事を祈らぬ日は無かった。
希望がもたらされたのは、スウェ―デンの詩人A・マリス氏から文芸祭に招かれた、二〇二二年の夏である。彼女とは以前英国の文学会議で会い、意気投合した仲だった。
これまで通り、BGM用のパーカッション七つと着物を携え、単身、国境を越えた。露宇情勢下、北極圏航路だった。
湿度が低く、爽やかな七月のストックホルム。雲を幾つか遊ばせた空は広く、小さな島々を抱くバルト海の群青が、歴史ある王国の品位を感じさせた。旅人らしく迷いながら歩いた、十七世紀のままの旧市街が忘れ難い。
中央駅で、ルーマニアからの参加者と落ち合い、一路開催地のトラノスへ。沿線の白樺の森が、南下する車窓を彩っていた。
滞在中一回の公演予定だったが、後日、欧州諸国から到着する聴衆の要望を汲み、再演が決まった。会場は、百人以上入るライヴハウス。久々の企画にかける主催者の意気込みが窺われた。こちらのパフォーマンスにも熱が入り、魂から魂へ、直に思いを伝える媒体となって演じた。ステージを終えると、客席のあちらこちらに涙を拭う姿が見られ、胸が熱くなった。そこには、未知のウイルスの脅威を潜り抜けた人々の、瑞々しく温かな、命のさざめきが満ちていた。
・宇宙から見えぬ地球の国ざかひ 神の視点はいづこにありや
去り際、橅の梢超しに仰いだ空は、子供の頃のように高かった。
2024年03月12日(火)
アメリカの著名な詩歌雑誌 Rattle 83号(最新号)、Collaboration特集に、Deborah P Kolodji 氏と私の新作Tan-Ku、Hubris が掲載されました。
エディターのTim Green氏に、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
Hubris
through
the distorted
glass
he smiles to me
from the white limousine (M)
blue green shimmers
a peacock struts
his stuff (D)
2024年03月12日(火)
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2024年2月16日、東京池の上のライブハウスGarigariで開催されましたDrank Poets TokyoのReadingに、久々に参加致しました。 メンバーの中には、昨年12月、Tokyo Poetry Journal Vol.14の出版記念パーティーで、お会いした方々もありました。 今回は、過去にインド滞在中に詠みました旧作短歌連作 "BanyanTree" を和英で朗読し、お楽しみ頂けて幸いでした。 皆様ありがとうございました。 |
2024年02月21日(水)
Online 詩歌誌、Shot Glass Journal様、Deborahとの新作Tan-Ku三作品をご掲載頂きありがとうございました。
※画像をクリックすると Shot Glass Journalのページが表示されます。
The Wait
by Mariko Kitakubo and Deborah P Kolodji
high tide
makes me
defenseless. . .
ancient blue of
the Pacific Ocean (M)
your ship shrinking
into the horizon
I wait ashore (D)
February
by Deborah P Kolodji and Mariko Kitakubo
morning sunshine
the snow where
you are (D)
invisible now
but I'm sure
Sakura's
flowering power
will surround us (M)
Sundial
by Mariko Kitakubo and Deborah P Kolodji
this sunset
is only for today
step by step
I'll be able to
start a new life (M)
ocean swallowing
the remaining light
moonrise? (D)
2024年02月06日(火)