記事詳細 国内、国外で短歌の表現活動を続けています。現代短歌 歌人 北久保まりこ

北久保まりこ プロフィール

北久保まりこ

東京都生まれ
東京都三鷹市在住
日本文藝家協会会員
日本PENクラブ会員
現代歌人協会会員
日本歌人クラブ会員
心の花会員
Tan-Ku共同創始者 Tanka Society of America

和英短歌朗読15周年記念動画
新作英文短歌
Spoken World Live発表作品

北久保まりこ

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歌人  北久保まりこ
記事詳細

ながらみ書房『短歌往来』2002年2月号 星と土とカンガ タンザニア、ルカニ村にて

椰子よりもバナナの多く見えはじめ村近付きぬ 赤土の道
ゆっくりと過ぎてゆく時間 老人は木下の椅子で手をふりており
訪れし小学校の校庭にわれの両手をうばいあう子ら
ルカニの夜あふるる星座それぞれに奏でていたり聖霊のこえ
いくつかは星残りたる夜明け前 ルカニの空の霧のしずけさ
チャパティとチャイ * に始まる村の朝 霧のむこうの牡牛の声
市場にてカンガ ** を値切る村人の群れのひとりにまぎれていたり
イモ、キャベツ、バケツに笑顔はずみたり市場帰りの荷台のうえで
荷台にて手をふるわれに走りよる村の子供ら星の子のよう
バナナの葉ぱらぱらならす風の窓「元気でいます。タンザニアにて」
やわらかくおもく眠りにおちる時 星のてまえで椰子の葉そよぐ
なつきたり痩せ犬村を去る朝もくびかしげつつ我を見ている
頂はジュラルミン色のキリマンジェロ荷台より見る村を去る朝
花も樹も人も家畜も土くさく生まれしままにうつくしかりき
靴うらの赤土はあえて落とさずに旅のおわりの段をくだりぬ
*  チャパティとチャイ:クレープとミルクティ
** カンガ:パレオのように巻き付けて着る布