歌人 北久保まりこ
短歌 角川書店
短歌 角川書店
これまで発表してきた、短歌・鑑賞文などを発表します。
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深海のごときしづけさ梗塞の波くりかへす わが心電図 |
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透明な碧(あを)をもつとも好みゐつ原子炉内に視らるるまでは |
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火の中に笑ふ顔見き悪神か亡母か己かさだかならねど |
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越南の少女は笑めり「洗骨の習はしがまだのこつてゐます」 |
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木より生与へられゐてわれも生木に与へたりセコイアの森 この森を危めたくなし明け方の霧のわく音木のねむる音 |
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山の靄にひたりしわれは樹となりて立てり はるけき水鹿の声 |
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熊蝉と沢の蛙の住む処 だれもわたしを知らないところ |
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住み着いてしまひたくなるこの森に雨しみとほりまた朝がくる |
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狂人のわれに会ひたる夢のあと音たてて洗ふ若布ひとかぶ |
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鳥の眼の高さ愉しもとこまでもゆるされし天おほらかなりき |

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